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◆プロデュース会社と建築家(1)

家を建てるにはその方法としていくつかの選択肢があります
プロデュース会社を通じて建築家を探し依頼するのもそのひとつです
このビジネスは十数年前に生まれ、現在は大小様々百花繚乱という印象です
ぼくも案内を時々頂戴するのですが、未だに参加した経験がありません
設計依頼に結びつくチャンスですから参加したいところですが
いざ資料を読んでみると、どうしても二の足を踏んでしまうのです

その理由を考えてみましょう

建築家には営業能力がありません
従って、建築家に依頼して家を建てるときは
依頼者が雑誌やTVなどのメディアを通して見知った建築家に直接連絡するか
建築家と面識のある知人から紹介してもらうか、ということになりますが
お互いの相性や細部までは会ってみないと分からないので
どうしても依頼する側に多少の勇気と緊張を強いてしまうところがあります

もう少しスムーズに建築家と出会えないか、という願望が生まれ
ここに、建築家を探したい人と設計を依頼されたい建築家の橋渡し
つまりプロデュースをする意義が発生します

斡旋だけではビジネスになりませんから
(純粋に斡旋だけで終える会社や機関もあります)
様々なサービスやイベントを企画して利益率を上げる工夫をして
できたのがプロデュース会社です
例えば、ひとつのビジネスモデルとしては
建築家を探したい人を会員(一般に有料が多いようです)として集めて
一方、建築家に呼びかけ会員登録(こちらは無料が一般的かな)させて
相談会や作品展のイベントを通して意中の建築家を選ぶ機会をつくり
話が纏まればプロデュース料を依頼者と建築家の双方に求める形式です
成案に至るまでのサービスの内容によりその設定は一定ではありませんが
依頼者はプロデュース料として定額から工事金額の何%といった支払いとなり
建築家の場合はやはり定額から設計監理料の何%を支払うというケースと、
予め設定された料率(設計監理料を工事金額の何%と定める)での契約が
求められるケースとがあります

ここまでのサービスで終える会社もありますが
これに建設業者を登録制や組合制にして特命化(有料が一般的)して
斡旋の幅を広げ、建物完成まで全体のサービス管理を行うケースもあります

これがプロデュース会社の大まかな形態ですが
ここで、もう一度最初からの流れを整理してみましょう

建築家に設計を依頼したい
でも建築家との接点がない
だからプロデュース会社に依頼する
意中の建築家を見つける
その分建設費の何%かのプロデュース料を支払う
ということになります

では、何故建築家に依頼したいのでしょうか

おそらく、自分たちの思いのこもったデザインや機能的に優れた家を
建てたいからでしょう
ローコストにしても、いい家を建てるのにはお金が掛かります
建築家に直接依頼する場合は、
人にもよりますが工事金額の10%前後の設計監理料が
(プロデュース会社の場合は料率を7%前後に抑えるケースが多いです)
工事金額とは別に必要になります
(一般に、設計監理料は工事金額には含みません)

プロデュース会社が介在する場合は、それとは別に
プロデュース料が発生します
その分建設費を縮小することになります
或いは、総額を決めて必要経費を差引いて建設費を決める考え方もあります
この場合、総額が変わらないので損失感はありませんが
建設費が圧迫(縮小)されることに変わりはありません

一方、建築家の方も本来の料率ではない
プロデュース料を差引いた料率での設計監理業務を行わねばなりません
尤もこれは営業能力のない建築家としては当然の支出かもしれませんが
依頼者探しのために設計監理料の何%かをプロデュース料として支払う
ということになります

つまり、
いい家を建てたくて
建築家を探すために
お金を使って
建設費を縮小する
という流れになります

勿論、建築家探し・依頼者探しにお金を使うことは決して無駄ではありません
でも、それが建設費の何%にもなるのでしたらこれはバランスを欠くことになります
(つづく)

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