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◆風の通り道

住まいを設計するときに、はずせない大切な項目のひとつがこれ、
どのような場合でも東西・南北、風の通り道を設けること。

住まいとか家具はよく擬人化されて表現されることがありますが
特に住まいは、思っている以上に人間的な存在です。
というより、生き物そのものといった方がいいくらい。
呼吸もしますしエネルギーも摂取する、排泄もします。
当然老化もするわけです。全く人間と同じです。

ここで言う呼吸とは、換気も含めた自然な空気の流れという意味です。
ですから、どんなに格好いい建物でもこの部分がきちんと考えられていないと
それは呼吸のできないただの器であり入れ物に過ぎなくなってしまいます。

大きな嵌め殺し窓を設けてすっきりとした外観に纏めて
室内環境は機械的な空気管理で維持する建物を時々見かけますが
人工呼吸でもしているようで何だか苦しそうです。
もちろん最近の気候変化を考えると機械に頼るのも理解できますし
ぼくも普通にエアコンを設けはしますが
開けたいときに窓を開けて入り込んでくる微風や涼風を肌に感じる、
その選択肢までは奪いたくないのです。

夏の暑い日、縁側の窓から裏庭の窓まで開け放ち
畳の上にごろんと横になって転寝しているときに
ふと駆け抜ける爽やかな風の記憶
そういう体全体で感じる感覚は大切にしておきたいものです。

具体的にどうやって風の通り道を作るかというと
これは全然難しいことではありません。
風の入るところだけではなく、出るところ作ってやればいいのです。
たとえば、一つの部屋に窓が二つ(できれば対面に)あれば風は流れます。
同じ大きさでなく、同じ高さでない方が風の流れはより活発になります。

窓が二ヶ所設けられない場合でも、
間仕切壁や収納壁に通気口を工夫して風を抜く方法もあります。
また、南北軸や東西軸に位置するケースが多い玄関ホールに
風の通り道を用意しておくと、
特に夏場などは空気がこもらず靴や衣類の換気にも繋がり快適です。

やはり、住まいはちゃんと呼吸する生き物でありたいものです。

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