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◆対角線の妙
ドアや窓の開口部を設けるときは対角線に注意したい。
その意識ひとつで部屋が広くも狭くも見えてしまうからです。
風水では、直線状に並ぶ開口部を良しとしません。
気が溜まることなく流れ出てしまうかららしいですが
これを人間の行動学から説明することができます。
直線状にドアがあるとすると、ドアを開けたら正面にドアが見えるから
部屋の中でコースを変更したりスピードが落ちたりしないで
真っ直ぐに進んでしまいます。
そうすると、そこで人が会話をしたり立ち止まったりすることがない。
たとえば商談が生まれたり発展することがない、
つまり気が充実しないということになる訳です。
よく似た目的で床をうねらせる工夫もあったと思いますが
風水に関しては後日別に取り上げます。
話が、いきなり横道に逸れてしまいましたが
何も直線上に開口部を配置するのがいけないという訳ではありません。
対称性を強調して象徴的に見せたいときなどは
寧ろ直線上に配置する方が効果的です。
でも、部屋を広く見せたいとき、或いは人を溜まらせたいときは
この対角線の配置が効果的なのです。
ドアを開けて正面に窓があると、
部屋の壁から壁までの距離感で部屋の大きさを無意識に認知するのですが
これを部屋の対角線上にレイアウトすると、
対角線の方が長いですから当然部屋の大きさも大きく感じるのです。
また、空気の流動も、直線状の開口部より対角線の開口部の方が淀みが少ない、
つまり部屋全体の空気を満遍なく撹拌してくれます。
応用編として、対角線上にある窓を出窓にすると、
更にその部屋の広がりは大きく見えることになります。
小住宅や茶室などの小空間であればあるほど、
この対角線の効果は絶大です。