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◆2001年宇宙の旅

2001年宇宙の旅


衝撃的な映画だった。日本公開は1968年。
ぼくは小さい頃からSFが大好きで、小学生のときは
図書室でジュール・ベルヌをむさぼるように読んだし
中学生になるとSFマガジンも時々町に出ると
ドキドキしながら買っていた。その店では
SFマガジンは何故かSMマガジンの隣に置いてあったのだ。

そんなわけだからこの映画の存在は知っていて
翌年の正月だったか大阪に兄と一緒に出た時に観ようと思ったら
残念なことに不人気で既に公開は終わっていて
寂しく取り残された「オリオン号」の看板だけが今も目に焼き付いている。
それから10年。
スペインで公開されているとか、トロントでは4年連続の超ロングランだとか、
微かな記事やSFマガジンの特集を繰り返し読みながら
ひたすら待った。
そして、1978年漸く再公開されたのだった。
しかも「スター・ウォーズ」の露払いとして。
でも、このときは沢山の人がこの映画を観たのだから凄い。
OS劇場の70mmシネマスコープで観た(この映画はこの画面でなければならない)。
オープニングの何も映像の出ないシーンが始まった途端に
感極まって涙が出てきてしまった。長く待ちすぎたのだ。
何も映ってないスクリーン観て泣いているのだから隣にいた人はびっくりしたことだろう。
映像、音楽、ストーリー、デザイン、どれをとっても
再上映された1978年当時でさえ新しくすばらしいものだった。
2001年を通り過ぎて2005年の今観ると、
流石に類人猿のメイキャップはちょっと古い感があるがその程度だ。
名シーンは数々あるが、やはりこのシーンだろう。
モノリスによって覚醒された類人猿が動物の骨を
「ツァラトウストラかく語りき」をバックに武器(道具)として初めて手にし
そのグループの力を強め、それを鼓舞するかのように骨を空に放り投げる。
それを追いかけ見上げるカメラ。
頂点極まり落ちてくる瞬間、画面は一転相似形をした宇宙船に変わる。
そのとき曲も「美しき青きドナウ」に変わる。
人類400万年の歴史をワンカットで表現しつくす鋭い描写。
絶句に近い感動。誰がこんな表現を思いつくだろうか。
ただただスタンリー・キューブリックの繰り広げる映像美に痺れた。
映画館にはその後6回通い70mmシネマスコープのスケール感を頭に焼き付け
ビデオは何十回となく観DVDも手元にある。
放浪時代にはストックホルムで上映されているのを見つけて入ったら
ミニシアターみたいなところでなんとも情けなかったが
その後もあちこちで見かけた。
世界のどこかで「2001年宇宙の旅」が上映されている
というSFマガジンの記事は本当だったのだと
妙な感動を覚えたものだ。

posted:susumu091005

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