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◆20%

小さい頃から昆虫が好きで、彼らの生態をよく観察した。
田舎では、蟻の行列を「伊勢参り」というが
これなど面白くてよくじっと飽きもせず眺めていたものだ。

でも、不思議なことがひとつあった。

小学校の理科の本には、よく巣の断面など図解入りで
蟻や蜂が人間以上に高度に社会化した
一所懸命働く賢い生き物であると書かれていた。

そう思って、せかせか歩いている蟻の行列を観察していると、
どうもちがう感じがするのである。
なんというか、どうみてもただうろうろしているだけで何もしてないような
いい加減なヤツがいるのだ。
というか、そんなヤツの方が多いような気がするのである。

子供心に、変だなあと思いつつも
列を乱さないように監督しているのや伝達係をしているのとかがいるのだと
自分自身を納得させていた。

ところがもう16年ぐらい前になるが、
「現代思想」5月号に書かれている記事をみて、ぼくは驚いたのである。

働き蟻の生態を観察すると、実際に働いているのは全体の20%に過ぎず、
残りの80%はちゃんと働いていないというのだ。やっぱり!
そこで、同じ種類のそれぞれ別々のグループから働く20%の蟻を集めて
ひとつのグループを形成してその行動を観察してみるとどうなるか。
何と、これまた働くのは20%の蟻だけになってしまうのだ。
働く働き蟻の80%が働かなくなってしまうのである。

面白すぎるが、どういうことかというと
80%の蟻は、ちゃんと働かない(=儀礼的に働く、働くふりをする)ことによって
労働に貢献しているのである。
つまり「福祉としての労働」をしているのである。

そして、この割合が会社などの組織体にも当てはまるらしいのだ。
働く者ばかりでは返って効率や能率の悪くなる時が確かにあるではないか。
よくできている。

posted:susumu020208

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