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◆メメント

メメント/スペシャル・エディション


タイムマシンやタイムスリップで
時間を遡ったり飛び越えたりするものや
時間軸を過去・現在・未来とぶつぎりにして描くものなど
「時間」がテーマの映画は沢山ある。
が、中でも出色なのが「メメント」だ。

この映画の監督であるクリストファー・ノーランの作品として
ぼくが最初に観たのは「メメント」ではなく「バットマン・ビギンズ」だった。
これにはものすごいショックを受けた。
これまでの、単なるコミックマガジンのヒーローではない
生身の「バットマン」が圧倒的な存在感を持って描かれていたからだ。
誰もこんな「バットマン」を予想していなかっただろうし、
これまでのシリーズがマンガになってしまった(元々マンガなのだが)。
そして、驚きと感動と共に「メメント」を観ることになる。
この映画は、妻を殺されたことが原因で
10分前のことが記憶できない男の、結果から始まる因果の逆転劇。
逆回しのフィルムでは、勿論ない。
現在に至る過去が徐々に示され
まるで薄皮をめくるように、
不快感と快感がない交ぜになって視覚に迫ってくる。
そうして少しずつ明らかになる原因は
しかし、結果の理解と真実をどんどん不確かなものにして行く。
その不確かさを演じて見事なのはキャリー・アン・モスだ。
構成の異質さや、何もかも説明しないと気が済まない饒舌で緻密な描写も
確かに「バットマン・ビギンズ」に通底するものがある。
それにしても、映画を観終わって思うのは
不可逆な時空のなかで、現在は過去の連続線上にあるのが当然で
原因があって結果がある的な明快なものと思い込んでいるが
案外、現実とは色んな説明ができてしまう不確かなものなのかも知れない
という危うさだ。
体に刻んだ刺青は、記号であって事実の証ではなく
説明する現在においてしか語れない、ということか。

posted:susumu261005

コメント

探し物をしていたら
「クリストファー・ノーラン監督特集」というのを
見つけてしまい「メメント」と「プレステージ」を観ました。

この監督の作品を2本も続けて観るなんて、何て無謀な事を
してしまったんだろう。
おもしろかった。 けど、もう、ものすごい疲労感。
現在から過去に向かって進むストーリーは、観ているこちらも
必死に覚えないと繋がらなくなってしまう。
追体験させられてる。

現在を過去にしながら、先にある過去に向かう??
(この辺でICARUSさん、吹いていそうな感じがする)
なんてややこしい・・・でも斬新な表現なんだろうな。
途中に折り込まれるモノクロのシーン、
服や車の疑問、そして最後の疑問。
その疑問を解くためにもう一度観ればわかるんだろうけど、
その気力は無く、DVDの最後に入っていた
リバース・シークエンス再生を観るというズルをしてしまった。
やはり、日をおいてもう一度観るべきだったかなあ・・・。

posted: pukupuku
July 14, 2008 08:06 AM

何ちゅうもったいないことを
無茶しますな~

「一本で十分ですよ」

でも、そういう無謀なことをしてみたい気持ちも分かります
ぼんち揚げ、食べ過ぎたら胸焼けするのが目に見えているのに
でも無性に一気喰いしたくなって
どうしても我慢できずに胃薬用意して食べたことがあります
ってちょっと違うか

彼、この映画30歳かそこらで撮っていませんでしたか、しかも原作が弟とか。
たまりませんね

posted: ssm
July 14, 2008 12:37 PM

一本で十分でしたね・・・

何という粋でブレラ~ンなコメ返
素敵・・・と感激していたら
ぼんち揚げ?!
飲んでたウメッシュ、吹いてむせちゃったじゃないですか。

インタビューも見ましたが、若いなーと思ったけど、
この時30歳だったんだ。兄弟で驚くべき才能ですね。
「インソムニア」も良かったし、バットマン・ビギンズ、もう一回観たくなってきました。
もちろん「ダークナイト」もすっごく楽しみ。

posted: pukupuku
July 15, 2008 12:16 AM

時間というのは、やはり現代においても常に大きすぎるテーマであって、巨大すぎる問題を孕んでいるのだが、
映像表現は、これについての切り口として、ある優位性を備えているものと思われる。

私が知っているものでは、「タルコフスキー」なども、時間を考えさせる作品を作るね。
そして、なぜか、水を感じさせる。

それにしても、思い出させるのは、
中学3年の時の、モリタくんのエピソードである。

土曜の昼、僕が彼の教室に行くと、彼は午後からの部活のために残っていた。

何を読んでるの、僕は彼の開いている雑誌を覗き込んだ。
彼が表紙を見せると、それは、「数理科学」と言う雑誌だった。
これってどう見ても大学生以上向けだよ。

しかもテーマが「時間とは何か」。
僕は体を突き抜けるような戦慄を覚えた。

中学生が真剣に向き合うテーマ。

それ以来、僕も「時間」と言う言葉は鮮明に頭に焼き付けられた。
絶対に忘れることのできない、思い出である。

posted: HiroshI Iwamoto
July 15, 2008 04:44 PM

そんなことありました?
恥ずかし

ところで
タルコフスキーとくればやはり水でしょう
「サクリファイス」「鏡」「ストーカー」などいろいろありますが
ぼくはやはり「ソラリス」ですね
彼の監督だと知ったのはずっと後だった記憶がありますが
これなど、海がひとつの知的生命体という
スタニスラフ・レムの秀逸な発想と設定があって
そこに水と時間のタルコフスキーの才能が重なり
見事な映画になっていますよね
最近、ジョージ・クルー二ー主演でリメイクされましたが
ワクワクしたのは宇宙船のデザインぐらいで
今ならCG使って「海」の蜃気楼の如き造形の狂気を表現できるかも
時代は漸くスタニスラフ・レムの想像力に追いつくのかと期待したのですが
残念でした。

posted: ssm
July 16, 2008 12:57 PM




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