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◆マスク
ジョーク好きのホセは
ちょっとエロくてファニーなCMや画像を見つけると
全世界にいる友人に洒落た文章を付けて送ってくる。
今回の新型インフルエンザは彼の国メキシコで起こったことなので
心配していたら、暫くして彼からメールが届いた。
曰く、
「新型インフルエンザの発生によって深刻な経済的打撃を受けたメキシコ政府は
新しい紙幣を発行することにした!」
「へえ~」
と思ってスクロールするとその紙幣の画像が。
よく見ると
紙幣の中の肖像がマスクをしているではないか。
やられた!
数日経って、再びホセからメールが来た。
今度は、最初にマスクをして歩くメキシコシティーの人々の風景が出てきて
その下に、
「この新型のインフルエンザに対抗すべく新しく強力なマスクが開発された!」
と書かれてあるではないか。
「またまたぁ」と思ってさらに下を見ると
パンツを被っている人物のポスターが写っていた。
爆笑してしまった。
心配のメールを書く気もなくなってしまった。
勿論、今回のインフルエンザが弱毒性であることを踏まえてのことなのだが
異常とも言える日本の反応と比べてこの差は何だろう。
国内には絶対に入れない「水際作戦」も、その意識意気込みや善しとしても
冷静にみてそんなことは不可能だからウィルスの侵入は時間の問題として
そのことを視野に入れた段階的対応策と適切な情報共有をすべきところなのに
「神戸で見つかった」と聞いて軽いパニック状態に陥ってしまうのは問題だ。
何も神戸の高校生が悪いのではなく(そんなニュアンスの報道があった)
また、関西の衛生状態が悪いわけでもない(「やっぱり」みたいな空気もあった)。
このインフルエンザの季節型と変わらない弱毒性故に
メキシコでの発見が遅れて世界に広がり
「水際作戦」の遥か以前に日本に入っていた可能性が極めて高い。
アメリカで開催された模擬国連に出席した高校生が感染して帰国したことを
泣きながら報告するその高校の校長先生の姿をテレビで見て
生徒を心配する以上の何かをその背後に感じ、ぼくは別の不安を感じた。
この騒ぎが沈静化する前に
奈良―三宮間を走る電車に乗って奈良に向かうことが何度かあった。
早朝で、車両に乗り合わせた人は20人程、
マスクをしていない人はぼくを含め数人だった。
たまたま、のどがいがらっぽくなって二三度軽く咳いたら
斜め向かいの人が厳しい目つきでぼくを睨みつけ離れた場所に移っていった。
「参ったなあ」と思っていたら
今度はマスクをした人が乗ってきて体ひとつ分空けてぼくの隣に座った。
暫くするとその人がマスクの下でグズグズゴホゴホし始めた。
チラッと横をみると赤い顔をしている。如何にも熱っぽそうだ。
「成る程、移さないためのマスクなんだなあ」と感心していると
生駒を過ぎたあたりでもう完全に我慢できなくなったみたいで
何とその人、急にマスクを外して激しく咳きを繰り返し
直ぐまたマスクをしたのだ。
「えっ?」
ぼくの頭の中は?マークだらけになってしまった。
後日、マスクの効果や着用を問うアンケート調査の結果を報道していたが
殆どの人が「マスクの効果より着用しないといけない空気があったから」
と答えていたようだ。
鳥インフルエンザはインドネシアで既に豚に感染していることが確認されていて
人―人感染は最早時間の問題ということだから
慎重であることに越したことはないが、
変な「空気」で世の中が過剰に反応してしまうのも気持ち悪い。
ホセのように笑い飛ばす元気も欲しいと思う。
posted:susumu040609